辞書と文法書

初学者向けの辞書と文法書の案内です。(2023/2/2更新)

水谷・羅和辞典の画像

初学者にとって辞書の選択肢は多くない。まず買い求めるならこの辞書だが初学者用の学習辞書的な配慮はない。例文が少ないが、それでも旧版にくらべて大幅に改善された。価格は6,600円とまずまず。巻末に変化表がついていて便利。消去法的だがこれを勧めたい。

国原・古典ラテン語辞典の画像

この辞書は研究社のものにくらべて例文は若干多いものの、価格が40,700円と高価で初学者がこれを買い求めるのは相当な冒険だろう。内容はよいし、巻末の動詞変化表はとても見やすく、ラテン語の動詞変化表としてはこれが優れていると思う。しかし価格面からはとても勧められない。多くの図書館に置いてあるのでそこで使えば十分。

ラテン語を始める人で英語の読めない人はまず考えられないので、研究社の辞書を補完する意味でこのBantamの辞書を勧めたい。価格も1,700円前後と手ごろ。最近入手して使ってみているが悪くない。羅英部分が450ページ、英羅部分が250ページ。最初に使う辞書として研究社の辞書とあわせて使うことを勧めたい。字は小さい。

中山・標準ラテン文法

つぎにラテン語の参考書を紹介しておく。これは初級ラテン文法の教科書だが文法の参照用としても考えられた作りになっていて、私も携行することが多い。ただし参照用に使うにはこの教科書で習っておく方がよい。これは中山・標準ラテン文法、価格は2,090円。

中山・古典ラテン文典画像

これは中山・古典ラテン語文典。上の標準ラテン文法より詳しいが、標準ラテン文法があれば足りる。この文典は構成こそ伝統的な文法書のそれを踏襲していながら、おそらくは出版社の販売戦略のために漸進的な教科書の体裁を一部とってしまったのが残念。これがほしくなる頃には、むしろ次の英語のものを勧めたい。6,380円。

Bennettの文法書画像

BennettのNew Latin GrammarをMahoneyが改訂した新版。私が使っているのはBennettの旧版(1952)だが、新版は評判を読むかぎり近頃の安出来のコピーとは違って版を新たに起こしたものらしい。旧版では内容も説明も過不足なく明快で、中山・古典ラテン語文典よりも少し詳しい。旧版は薄さも魅力だったが、新版は少し厚くなった。中山・標準ラテン文法にすこし不足を感じ始めたころに手に入れてはどうか。4,500円程度。